掲載日 : [2017-01-18] 照会数 : 5942
啓明大と学術交流35周年…桃山学院大学「韓朝鮮学」の実践生きる
[ 釜山港に降り立った徐ゼミナールの一行(前列左2人目が徐龍達さん、1968年3月) ]
【大阪】啓明大学校(申一熙総長、大邱市)と桃山学院大学(牧野丹奈子学長、大阪府和泉市)による多角的な国際学術交流が昨年末までに35周年を迎えた。韓日間の大学交流でこれだけの長きにわたって継続しているのは全国的にも珍しいという。桃山学院大学の徐龍達教授(当時、現名誉教授)が68年、ゼミナール学生17人を引き連れて非公式に訪韓したことが同大学の公式交流の先駆となった。
徐龍達ゼミナール訪韓団の目的は「韓国の主要大学との学生交流および親睦促進」。当時は飛行機便がぜいたくとされた時代だったため、一行18人は下関から「韓水丸」に乗船して釜山に向かった。現地では国立釜山大学校商科大学の許宗学長の計らいで、韓日大学生の交歓会が実現した。韓国のマスメディアは「日本から初の大学生訪韓団」と報道した。
徐名誉教授は当時を振り返って「徐ゼミの韓国研修旅行が継続した背景に桃山学院大学における『韓朝鮮学』の取り組みがあったことは重要。学生、教授らの韓国への関心を高めた」と振り返った。
75年に徐経営学部長を議長とする合同教授会で「韓朝鮮語」が選択必修科目の第2外国語(ドイツ語、フランス語など)に。外国語学部のある大学を除いては日本全国で初めての開講とあって、当時の「朝日新聞」(75年10月4日付全国版)が7段の見出しつきで報じたほど。
78年には差別撤廃・人権教育の一環として「韓国・朝鮮史」と「韓国・朝鮮文化論」を相次いで開講した。ここでも初代と第3代人権委員長を務めた徐教授の働きかけが大きかった。
80年8月には「第1回桃山学院大学韓国歴史文化セミナー」(徐教授引率)として教員と学生18人が啓明大学校を訪問。これが両大学による公式交流の始まりだった。日本の大学が韓国に目を向け始めたのは一般的に88年ソウルオリンピック以降とされるだけに、大学交流としては早いほうだった。
81年には「学術・教育・文化交流協定書」に調印し、姉妹校締結が実現。翌年から啓明大学校と桃山学院大学の間で「共同研究発表会」を交互開催するようになった。第7回からは「国際学術セミナー」と改称し、今日まで続いてきている。第37回は昨年12月に桃山学院大学で開催され、啓明大学からは李枝雨経営大学長ら5人の教授らが訪れた。
学生の「歴史文化セミナー」ではすでに356人(語学研修は85人)が訪韓交流したが、教職員の研修交流も盛んだ。交換教授や短期研修などとして、これまで啓明大から桃山大に28人、桃山大から啓明大には23人が研究で往来。また、職員研修では啓明大から46人が来阪した。毎年の大学院留学生も100人以上に達している。
徐名誉教授はこの間の国際的な貢献が認められ16年2月、啓明大学校の申総長から名誉法学博士号を授与された。
(2017.1.18 民団新聞)