掲載日 : [2016-11-30] 照会数 : 8667
自己実現へ行動計画…青年会中央「在日青年共育フォーラム」
[ 「NANTA」の一員として活躍した経験を語る李柚香さん(左) ]
在日3、4世世代が自らの民族性を大事にしながらどう自己実現を図っていくのか。普段着姿の相互討論を通じてその答えを模索する「在日青年共育フォーラム」が26、27の両日、東京・港区の韓国中央会館であった。青年会中央本部(朴裕植会長)が9月の「在日同胞青年母国訪問」の後続措置として企画。全国から82人が参加し、具体的な行動計画を提示した。
ヘイトS、名前、ウリマルなど9課題
参加者は各班に分かれ、「ウリマル」「母国」「ヘイトスピーチ」「国籍」「韓日関係」「名前」など9つのテーマについて討論した。いずれも「在日」を生きていくからには避けては通れないものばかりだ。
ヘイトスピーチを根絶していくためには具体的にどういう行動をとっていけばいいのか。討論では「罰則ができても、差別感情や偏見はなくならない」という意見が大勢を占めた。それならば、「われわれ個々人のいいところをたくさんの人に知ってもらう」こととなり、「友だちを1000人つくること」に落ち着いた。
ウリマルは学んでも話す場が限られていることから、「在日同胞といるときは積極的に使用すること」を最終目標とした。韓日関係では在日の一人ひとりが「懸け橋」となって問題解決にあたることを宣言した。
一方、名前は結論がまとまらなかった。「通称でも慣れ親しんだ名前。いきなり変えられない」とする擁護派が多かった。ただし、「青年会に参加しているときは民族名で呼びたい」という意見が聞かれた。国籍についても「育ってきた環境が違うから」と一つだけを至上とする考え方には否定的。「それぞれの国籍を認めあう」ことで落ち着いた。
奈良から参加した青年は「在日というキーワードで話していくにあたり、その前提(歴史的背景など)を共有するのが難しいなとあらためて感じるきっかけとなりました。そこに在日という存在の難しさがあるのかな」と感想を語った。
朴会長は「あえて中央からこうしろとは押しつけない。それぞれ普段着で気軽に対話を重ねるなかで、自分たちにとって最上の生き方を探ってもらいたかった」と話している。
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同胞仲間と支えあい
5人が自分史
フォーラムでは参加者のなかから5人が自分史を語る「在日青年マイストーリー」が目新しい試みとして注目を集めた。
李柚香さん(愛知)は在日の父と日本人の母を持つダブル。大学1年のとき初めて訪れた母国でキッチンパフォーマンス集団「NANTA」の公演を見て「同じ舞台に立ちたい」と決意。「突撃系女子」の本領を発揮して、卒業すると同時に韓国に語学留学した。
1年後、「NANTA」の門をたたくも断られ、関連グッズを扱う劇場で売店ボランティアを半年経験した後、正式にオーデイションに合格して夢を実現させた。
李さんが高校まで抱いていた韓国へのマイナスイメージを転換するきっかけとなったのは、大学在学中に出会った同胞仲間だったという。
朴涼太さん(福岡)は日本国籍者。両親がタクシー会社を経営するためにあえて日本国籍を取得したことを成長してから知った。高校生の時、友人と帰宅途中、「俺、韓国人嫌い」といわれて押し黙ってしまう性格だった。大学卒業後、九州幸銀に就職して「在日」の意義に目覚め、青年会に関わるようになった。
いまは仲間どうし、「かけがえのない時間を共有している」と明るい声で結んだ。
(2016.11.30 民団新聞)