掲載日 : [2016-12-07] 照会数 : 4561
<読書>日韓の歴史認識と和解…「共存」と「非戦」の思想で
2万2000人の「旧日本軍朝鮮半島出身軍人・軍属死者名簿」が出版されるという。膨大な数を前にして、生者は何をなすべきか。
戦後史のなかで埋没させてきたこと、「知らなかったことへの罪」を共有することから始めたいと、本書の中で日本の仏教者は断罪する。
80年代以降、日本の侵略戦争と植民地支配の加害事実を教科書に反映させてきた日本の歴史教育者は、戦後70年の昨年に閣議決定され、出された総理大臣談話について、「日本の植民地支配に対してお詫びしていない。歴史の事実を明らかにし、学び直すことが重要だ」と指摘する。
戦前は日本帝国が韓民族の抗日勢力にとって、共通の戦略対象であった。しかし今では、韓半島における安保上の最大の問題が、北韓の核であり、北韓にとって韓日両国及びその国民が共通の戦略対象になっている、と在日の識者は言う。
さらに、韓日間の和解は、民族間の共存と人間を再び戦争の道具にしない「非戦」の思想を二本柱にしなければならず、2万人余の韓半島出身戦没者を、和解の「関係原理」の根拠にしなければならないと説く。
歴史は生命力をもち、生者の中で生き続ける。未来へと生き続けることで、歴史は無力なものではなく活力の源泉となりうると訴えている。
東北アジア問題研究所編
新幹社
1500円+税
03(6256)9255
(2016.12.7 民団新聞)