掲載日 : [2016-11-09] 照会数 : 12819
<第10回MINDAN文化賞>孝道部門優秀賞…鄭周栄(金剛学園小5・大阪)
<第10回MINDAN文化賞>孝道部門優秀賞
「親孝行」
鄭周栄(金剛学園小5・大阪)
ぼくは四才の時まで中国に住んでいました。そのときは親孝行を知りませんでしたが、日本に帰ってきて七才の時からちょっとずつ親孝行をするようになりました。
最初はお父さんとお母さんの肩をもんであげました。理由は特にありませんが、マッサージをすることしかわかっていませんでした。
三年生になってからは一年生の時にできなかったお茶を注ぐことを学びました。それから少しずつですが、部屋の片づけや布団のしき方もちょっと難しかったけどがんばりました。苦手だったお風呂そうじとトイレそうじもがんばりました。
四年生からはせんたくもの、皿洗い、ゴミ捨てもできるようになりました。今ではちょっとだけ料理やボタンつけなども出来るようになりました。
一番得意なお手伝いはゴミ捨てです。なぜかというと、ごみを捨てるたびにお母さんは「ほんとうにありがとう、助かった!」と笑顔で言ってくれてとてもうれしいからです。
中国にいた時はおばあさんになんでもやってもらうばかりでしたが、日本に来て親と住んでからは少しずつできることが増えました。最初はやってもらうことがうれしいと思っていたのですが、人のために何かできることは何よりもうれしいことを知りました。
去年の十二月、冬休みの時にお父さんと中国に行きました。マイナス15度の寒さですごく寒かったですが、育ててくれたおばあさんを思い出したら寒さを感じませんでした。おばあさんが空港にむかえにきてくれていたので一緒に家に行きました。
おいしい料理を食べて休けいしていると、お父さんがお風呂でタライにお湯を入れて、おばあさんに「お母さん!お疲れさまでした。足をこのタライに入れてください。」と言いました。おばあさんははずかしがりながら足を入れました。お父さんはおばあさんのしわがいっぱいある足をもみました。「気持ちいい」とおばあさんが言いました。
お父さんが「お母さん、今まで育ててくれてありがとう。」と言うと、おばあさんは涙を流していました。
その姿を見て、心に何か熱いものがわいてくるのを感じました。ぼくもタライにお湯を入れて、「お父さん、足を入れてください」と言うと、お父さんはほほえみながらゆっくりとタライに足を入れました。その時初めてお父さんの足をしっかり見ることが出来ました。足は思っていたよりもボロボロでした。
お父さんに日本にいた時に警備やたこ焼きの店でアルバイトを遅くまでしていて苦労していたと聞いていました。
家族のために苦労したお父さんに感謝しています。ぼくもお父さんと同じように親孝行をしたいです。
「お父さん、ありがとう!」
(2016.11.9 民団新聞)