掲載日 : [2021-09-08] 照会数 : 3179
150人の証言収録…市民グループ30年ぶりに復刊'荒川河川敷
[ 『風よ 鳳仙花の歌をはこべ』表紙 ]
東京・墨田区の荒川河川敷で関東大震災時に虐殺された朝鮮人の追悼を続けている市民グループ「ほうせんか」の活動記録『風よ 鳳仙花の歌をはこべ』が増補新版として30年ぶりに復刊が実現した。
追悼式が営まれるのは木根川橋のたもと。震災時には荒川放水路の開削にともなってかけられた木製の旧四ッ木橋があった。この木橋は東京の浅草区や本所区と避難先の南葛飾郡東部や千葉県などを結ぶ重要な橋となった。これらの道は、着のみ着のままであったり、大きな荷物を背負ったり、大八車に家財を積んだりした避難民でごった返していた。
流言は1日から流れ出した。デマは「津波が来る」「朝鮮人が襲ってくる」「朝鮮人が井戸に毒をいれた」‐というものだ。朝鮮人虐殺はその夜から始まった。
関東大震災で虐殺された朝鮮人が河川敷に埋められたという証言は、小学校の教師をしていた絹田幸恵さんが教材作りのために聞き書きをしていたとき、古老から聞いたのが始まり。「ほうせんか」の会員は歴史の空白を少しでも埋められたらと日曜日の午後、3人1組で聞き書きを重ねた。
10年間におよぶ聞き書きは延べ150人を超えた。これらの証言記録は92年に『風よ 鳳仙花の歌をはこべ』(教育史料出版会)として出版された。いまは入手困難なため、増補新版の1部に再録した。第2部は旧版出版後の追悼碑建立に奔走した約30年間におよぶ地道な地域活動が主な内容となっている。
税別2000円。ころから(03・5939・7950)。
(2021.09.08 民団新聞)