掲載日 : [2021-09-29] 照会数 : 4273
戦没者遺骨のDNA鑑定、対象地域を大幅拡大 10月以降
[ 韓国人戦没者11人を含む「戦没者遺族DNA鑑定集団申請名簿」を厚労省に提出する支援団体代表(左) ]
日本人優先に韓国人遺族が憤り
厚生労働省方針
太平洋戦争の戦没者52人の遺族が14日、支援団体を通じ、日本政府に遺骨の身元特定へDNA鑑定を申請した。この中には沖縄戦と太平洋地域で戦没した韓国人11人も含まれている。
厚生労働省は戦没者遺骨の身元特定のためのDNA鑑定の対象地域を沖縄、硫黄島などの一部に限定し、しかも身元の特定につながる遺品が見つかった場合に限ってきた。その後、遺族の要望を受けて方針を転換。10月以降からは対象地域を拡大し、遺骨が収集されて保管されているアジア太平洋すべての地域に対象を拡大することになった。また、遺留品などの手がかり情報も求めないこととした。
ただし、厚労省の関係者は「日本人で合致する遺骨を優先する」としており、外国籍のDNA鑑定希望者については後回しになりそうだ。外務省関係者によれば「韓国へ遺骨を返すとなれば、両国政府間の話し合いになる。まだ体制の整備ができていない」とのこと。
支援者からは「日本人で合致する遺骨を遺族に帰してからでないと、韓国人の照合を始めないのか。それでは多くの韓国人遺族が亡くなってしまう。日本も韓国も遺族の高齢化問題はもう待てないぎりぎりの状況」と抗議の声が上がった。
中国で戦死した父親の遺骨返還を求めている遺族の一人、李熙子さん(韓国太平洋戦争被害者補償推進協議会共同代表)はZOOMを通じて「遺骨を日本政府が持っている必要はない。外務省と厚労省が膝を突き合わせてどうするべきか考えてほしい」といらだちの声をあげた。
(2021.09.29 民団新聞)